【1月16日 東方新報】ポルトガルから中国に返還されて昨年20周年を迎えたマカオ(Macau)が、デモ騒動に揺らぐ香港にかわる観光地として注目されている。マカオ特区政府治安警察局が1日に発表したところによると、2019年のマカオ入境延人数が史上最高を更新し、1.94億人、2018年の1.79億人より9%増で連続7年増加となった。

 特に2019年12月28日は48.4万人が入境し、一日あたりの記録も更新。2018年12月に開通した香港珠海マカオ大橋の通行量も増加の一途をたどっており、2019年全体で計1330万人が通行、マカオ全体の出入境の7%を占めている。この大橋の一日当たりの最高出入境記録は7.8万人で、すでにマカオ第二の出入境審査場となっている。

 また2019年のマカオへの観光客は3940万人で2018年の3580万人から10%増加。うち本土からの観光旅行客が2800万人を占めた。

 こうしたマカオへの訪問客増加の背景には、香港での「反送中デモ」(逃亡犯条例改正反対デモ)の影響で、従来香港で過ごしていた本土客がマカオに流れたことや、出入境審査のスマート化、自動化などによって通関速度が短縮されたことなどがある。昨年12月20日は、マカオの中国返還20周年を迎えた節目の日で、この前後に観光客を吸引するさまざまなイベントが多かった。マカオ観光当局は2018年から台湾の旅行業界らと提携し、台湾の女性、家族連れ、シルバー世代の旅行客誘致に力を入れている。

 長らくポルトガルに統治されていたマカオは、独特の祝祭日や飲食文化があり、観光資源も豊富。中国とポルトガル語公用語のラテンアメリカ系国家との交流プラットフォームにもなっている。その一方で、マカオ観光の目玉で政府収入源の8割をしめるカジノ産業は、本土の腐敗官僚のマネーロンダリング(資金洗浄)に利用される賭博というネガティブなイメージがある。近い将来、日本が統合型リゾート施設(IR)誘致に成功すれば、カジノ客を取り合うことも予想されるが、これまでカジノに頼りすぎてほかの観光資源開発が遅れていることなどの課題も指摘されている。

 今後はマカオの一国二制度を生かした海外に対する金融、貿易窓口としてもアピールし、見本市や経済会議などのビジネスイベントや、新たなレジャー旅行などの市場を拡大していき、カジノに頼りすぎないマカオ観光の開拓に乗り出していくことが期待されている。(c)東方新報/AFPBB News