【1月19日 AFP】ハーブやスパイス、濃い色の粉末で細長い竹をコーティングする──大勢の作業員が夜通し作業し、朝になると太陽の下に広げて乾燥させる。

 中国・福建(Fujian)省の山岳地帯にある永春(Yongchun)県は、世界有数の線香産地。月末に春節(旧正月、Lunar New Year)を控えた今は、同地の人々にとって一年の中でも大事な時期だ。春節では、多くの中国人が寺院や伝統的な儀式で祈り、線香をたく。

 同県達埔鎮(Dapu)に暮らすホン・ゾンシェン(Hong Zhongsen)さん(31)一家は、線香の製造を家業としてきた。創業から何世代にもわたる老舗を、ホンさんが受け継いだ。

 ホンさんは、何列にも並べられた鮮やかな色の線香の中に立ち、語った。「一家にとって、線香づくりはとても重要。単なるビジネスではない。先祖伝来の技術と伝統的な宗教文化を守ることでもある」

 線香は、アラブの商人が永春県に持ち込んだ香りのよいスパイスが地元の竹と組み合わされ、生まれたと考えられている。

 中国メディアによると、永春県では現在、およそ300の工場で3万人を超える人々が線香の製造に従事している。

「永春の線香は独特。特別な香りと質感がある。繊細なアートで、製作時のわずかな違いが品質全体を変えてしまうこともある」とホンさんは語った。(c)AFP/Lianchao LAN