【1月13日 AFP】メキシコの首都メキシコ市にある公園で1981年に発見された金の延べ棒が、約500年前にスペイン人のエルナン・コルテス(Hernan Cortes)ら征服者(コンキスタドール)が略奪した古代アステカ(Aztec)文明の財宝の一つであることが、新たな研究で明らかにされた。

 1.93キロの延べ棒は、メキシコ市中心部にあるアラメダ(Alameda)公園沿いの建設現場で、掘削作業中に建設作業員が発見した。

 その後39年間、延べ棒の由来は謎に包まれたままだった。

 メキシコ国立人類学歴史学研究所(INAH)は、特殊なX線によって延べ棒の出どころをようやく確認できたと発表。「悲しき夜(Noche Triste)」と呼ばれるコルテスの劇的かつ一時的な退却の際に略奪されたものだった。

 研究により、延べ棒の組成が同時期のアステカ文明の他の遺物と一致することが明らかになった。

 1520年6月30日の夜、大勢の司祭や貴族が殺害されたことに憤慨していたアステカ人は、スペイン人征服者らを当時の首都テノチティトランから追い出した。

 この際に征服者たちは、略奪した持てる限りのアステカの財宝を手にして脱出。今回の延べ棒も一緒に持ち出されたとみられている。

 INAHは、「征服のエピソードの一つである『悲しき夜』は、今年人々に思い出されることだろう。この出来事の物質的証拠は一つだけあり、それが500年前にテノチティトランの運河に沈んだこの延べ棒で、最近の分析により(スペイン人の)逃避行に由来するものであることが確認された」と述べた。(c)AFP