【1月11日 AFP】米国は10日、既に大規模な制裁の対象となっているイラン経済に対し、追加制裁を科したと発表した。また、米国の空爆により死亡したイランのガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官について、米大使館を狙った「差し迫った」攻撃を計画していたとして、殺害を擁護した。

 米国は先週、イラン第2の有力者ともされるソレイマニ司令官を無人機攻撃で殺害。米・イラン戦争を引き起こす恐れを生んだ。イランは対抗措置として、米軍が駐留するイラクの軍事基地を弾道ミサイルで攻撃。この攻撃による犠牲者は出なかった。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は軍事行動による報復は行わないと表明したが、米政府はイランに対する圧力を継続する意向だ。

 スティーブン・ムニューシン(Steven Mnuchin)財務長官はホワイトハウス(White House)で開いた会見で、イランに対する追加制裁を発表。制裁はイランの高官と鋼鉄産業を標的としたもので、個人8人と金属製造企業や採鉱企業の計17団体が対象とされた。

 米国の長年にわたる敵だったソレイマニ司令官の殺害については、トランプ氏による無謀な行動だったとの批判が上がっているが、政権側は同司令官による攻撃実行が迫っていたため止める必要があったと反論している。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は「正確な実行予定日は分からないが、非常にはっきりしていた。ガセム・ソレイマニ自身が米国関係者に対する広範で大規模な攻撃を企てており、攻撃は差し迫っていた」と説明。「大使館や軍事基地を含む米国の施設」に対する攻撃計画についての「具体的な情報」を米国は入手していたと述べた。

 ただ、「差し迫った」脅威の内容についての政権側の説明は食い違っており、司令官殺害についての疑念は払拭(ふっしょく)されていない。トランプ氏は9日、ソレイマニ司令官は在イラク米国大使館の爆破を企てていたと言明。だが当局者らはその後、この爆破計画については言及していない。

 トランプ氏はさらに、10日に抜粋が公開された米FOXニュース(Fox News)とのインタビューで、ソレイマニ司令官が4か所の米大使館に対する攻撃を企てていたと説明。「恐らく(イラクの首都)バグダッドの大使館だっただろう」と語った。(c)AFP