■異色の存在

 クレールヒェンス・バルハウスについての著作もある常連客のマリオン・キーソウ(Marion Kiesow)さんは、ダンスホールが「おしゃれエリアの気軽に集まれる大衆向けの場所」でなくなってしまうことを常連客は最も心配していると話す。

 クレールヒェンス・バルハウスは、ベルリンの歴史的中心部に位置しており、周辺はここ10年、不動産ブームに沸いている。さまざまな建物が改築され、アートギャラリーやレストラン格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で星を獲得したレストラン、高級住宅などに生まれ変わっている。その中で、正面の壁が剥がれ落ち、料金も安いクレールヒェンス・バルハウスは異色の存在だ。

 クレールヒェンス・バルハウスは長らく伝統に挑んできた。

 1913年9月13日、ドイツ最後の皇帝ウィルヘルム2世(Wilhelm II)の時代に誕生し、二つの大戦をくぐり抜け、ベルリンの壁(Berlin Wall)の建設と崩壊も目撃した。

 また、タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ(Inglourious Basterds)』の撮影にも使用され、2017年には、英国のウィリアム王子(Prince William)と妻のキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)も訪問している。

 店名は初代オーナーであるクララ・ビューラー(Clara Buehler)さんにちなんで付けられた。ビューラーさんは1971年に死去するまでの半世紀以上、クレールヒェンス・バルハウスを経営していた。(c)AFP/Yannick PASQUET