【1月10日 AFP】英国のヘンリー王子(Prince Harry)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)は8日の発表で、高位王族の地位から退くことで「経済的に自立」できると述べている。だが夫妻は英王室の一員としての恩恵は維持しつつ、自分たちのイメージを利用して利益を得ようとしているようだ。

 今回の衝撃的な発表の直後、王子夫妻はデザインを全面的に刷新した2人のウェブサイトで、新たな「財政計画」の詳細を明らかにした。

 英国では王族にかかる費用をめぐる問題は繊細な話題であり、プライベートジェットで世界を飛び回るヘンリー王子夫妻のライフスタイルは、つまびらかに観察されている。

■何を放棄するのか

 ヘンリー王子夫妻が放棄するのは王室助成金だ。これはエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の公務とバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)の維持のために出されているもので、女王の代理として公務を行う他の王室メンバーも受け取っている。

 2018~2019会計年度の王室助成金総額は8200万ポンド(約117億円)だったが、各人にいくら支払われたかは明らかにされていない。

 だが、王室助成金は王子夫妻の収入のわずか5%を占めるにすぎない。

■何を維持するのか

 夫妻の収入の残り95%は、ヘンリー王子の父チャールズ皇太子(Prince Charles)の所有するコーンウォール公領(Duchy of Cornwall)から得る利益の分配で賄われている。5万3000ヘクタールに上る広大な公領は、王位継承者が受け継ぐことになっている。

 コーンウォール公領の2018~2019年度の資産額は10億ポンド(約1400億円)で、200万ポンド(約29億円)を超える利益を生み出した。

 英紙タイムズ(The Times)の報道によると、年間約500万ポンド(約7億円)がチャールズ皇太子の息子であるヘンリー王子とウィリアム(Prince William)王子に支払われている。

 ヘンリー王子夫妻は、この資産を放棄するとは表明していない。

 チャールズ皇太子は、今回の発表前に王子夫妻から相談がなかったことに怒っていると報じられている。

 また、王子夫妻はサセックス公爵の称号は維持し、さらにウィンザー城(Windsor Castle)の敷地内にある現在の住居フログモア・コテージ(Frogmore Cottage)も使い続ける意向だ。

 それには所有者であるエリザベス女王の許可が必要だとみられるが、女王もまた王子夫妻の振る舞いを不満に思っていると伝えられている。