【1月10日 AFP】オーストラリア南東部で数か月にわたり猛威を振るっている森林火災では、アイルランドの国土面積に匹敵する8万平方キロ以上の土地が焼失し、壊滅的な干ばつにあえいでいた農家に大打撃をもたらしている。既に乾き切っていた各地の農場では、火災で何万頭もの家畜が犠牲になったとみられる。

 ニューサウスウェールズ(New South Wales)州バトロー(Batlow)で農場を経営するスティーブ・ベルチャンバース(Steve Bellchambers)さんは、死んだ家畜を穴に埋めながら「臭いが記憶にこびりついている」とAFPに語った。

「泣いていない人も、傷ついていないわけではない。アドレナリンのおかげで動き続けていられる人がたくさんいる。一度でも立ち止まればつらくなるから、動き続けるしかないんだ」

 一連の森林火災では、これまでに豪全土で26人が死亡し、家屋2000棟以上が被害を受けた。被災した地域の住民らは、当局の対応に怒りの声を上げている。

 10日は、ニューサウスウェールズ州とビクトリア(Victoria)州の一部で気温が再び40度を超え、強風が吹くとの予報が出ている。当局は、新たな非常警報を発令し、火災の拡大に警戒を呼び掛けている。

 オーストラリアでは、長引く干ばつと気候変動の影響で森林火災がより起きやすい気象条件となっており、専門家は今回のような深刻な森林火災が今後はより頻発し、規模も大きくなると警告している。(c)AFP