【1月10日 AFP】男子テニスの国別対抗戦ATPカップ(ATP Cup 2020)は9日、オーストラリア・シドニーで準々決勝が行われ、地元オーストラリアはニック・キリオス(Nick Kyrgios)が力強さを発揮し、アレックス・デミノー(Alex de Minaur)も粘り強いプレーを披露するなど、ティム・ヘンマン(Tim Henman)監督が率いる英国を2勝1敗で退け、準決勝に進出した。この日は他にロシアがアルゼンチンを圧倒し、ベスト4入りを決めた。

 オーストラリアは、第3試合のダブルスに出場したデミノー/キリオス組が第3セットのタイブレークを18-16で制して激闘をものにし、準決勝では国別対抗戦デビスカップ(Davis Cup 2019)覇者のスペインと激突する可能性が出てきた。ラファエル・ナダル(Rafael Nadal)を擁するスペインは、10日の準々決勝でベルギーと対戦する。

 第1試合のシングルスでは、キリオスがキャメロン・ノーリー(Cameron Norrie)に6-2、6-2で圧勝してオーストラリアが先勝。続く第2試合では、ダニエル・エヴァンス(Daniel Evans)がデミノーとの好勝負の末に7-6 (7-4)、4-6、7-6(7-2)で勝利を収め、英国が勝負をダブルスに持ち込んだ。

 オーストラリアのレイトン・ヒューイット(Lleyton Hewitt)監督は、ダブルスで通常起用されるジョン・ピアーズ(John Peers)/クリス・グシオネ(Chris Guccione)組の代わりにデミノー/キリオス組を出場させる大きなギャンブルに出た。

 そして、デミノー/キリオス組が第1セットを3-6で落とすと、その采配は凶と出るかに思われた。しかし、続く第2セットではキリオスがサーブをさく裂させてオーストラリアペアが6-3で取り返すと、第3セットは両者譲らぬままタイブレークが30分以上にも及ぶ激闘となった。

 英国はジェイミー・マレー(Jamie Murray)/ジョー・ソールズベリー(Joe Salisbury)組が4本のマッチポイントを手にしたが、すべてしのいだオーストラリアが自分たちの5回目のチャンスをものにして喜びを爆発させた。

 ヒューイット監督は試合を振り返り、「素晴らしいテニスだった。きょうは3試合とも全員が100パーセントの力をコートに出し切った」「選手たちを心から誇りに思う。よくぞ形勢を逆転してくれた…。どちらに転んでもおかしくなかった」とコメントした。

 もう一つの準々決勝では、世界ランク5位のダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev)を中心としたロシアがシングルス2連勝を飾り、その勢いでアルゼンチンを3-0でスイープした。

 第1試合のシングルスでは、絶好調を維持している世界17位のカレン・ハチャノフ(Karen Khachanov)が精彩を欠いたギド・ペラ(Guido Pella)に6-2、7-6(7-4)で先勝。同選手はこれで、今シーズンの成績を4勝0敗に更新した。

 一方、同じく今季負けなしのメドベージェフは、世界13位のディエゴ・シュワルツマン(Diego Schwartzman)を相手にあっという間に第1セットを先取したが、第2セットでは集中力を欠いてしまい、審判との口論の末に審判席をラケットで2度たたいてポイントペナルティーを科される場面があった。

 このセットを落としてしまったメドベージェフだが、第3セットでは立て直して6-4、4-6、6-3で勝利を収めた。この結果、ロシアは準決勝でノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)を擁するセルビアとカナダの勝者を迎え撃つことになった。(c)AFP/Martin PARRY