【1月10日 CNS】「ハシナガチョウザメはすでに機能的絶滅」という論文がきっかけとなり、「淡水魚の王」と呼ばれるこの魚の生存状態に関心が集まった。論文では、ハシナガチョウザメは2005~10年には生存環境がその種の繁殖を許さない状態を指す「機能的絶滅」に陥っているとしている。

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 この件に関し、国際自然保護連合(IUCN)が3日、微博(ウェイボー、Weibo)公式アカウントを通じ、「目前の初歩的な状況から見てもハシナガチョウザメの生息は楽観視できない。6月の『レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)』の更新に反映する」と表明した。

 問題の論文は、中国水産科学研究院長江水産研究所が、国際学術会報「整体環境科学」の19年12月下旬の会報に発表したものだ。

 論文は「17~18年に長江の全流域を調査したが、生きたハシナガチョウザメは発見できなかった」と述べ、「81年から03年の間に発見したこの種の個体数に基づき、おそらく05年、遅くとも10年に絶滅したと推測する」との見解である。

 公開された資料によれば、ハシナガチョウザメは世界最大の淡水魚の一つで、長江水系と中国近海の特有の魚類だ。標本として記録されている最大の個体の全長は7メートルを超える。捕食魚の一種で、産卵や索餌のため河をさかのぼる遡河魚(ソカギョ)だと考えられている。しかし03年以降この魚種の痕跡は見つかっていない。

 20世紀半ば以降、乱獲と生息地の環境悪化で数量が激減したという。

 88年に国家一級保護動物に指定され、06年にはIUCNから「絶滅寸前種(CR)」に指定されていたが、その個体数の減少は止まらなかった。「安徽省(Anhui)銅陵市(Tongling)長江イルカ保護協会」の張明浩(Zhang Minghao)会長は「当時はハシナガチョウザメの保護はそれほど重要視されておらず、資金、設備、研究者も全て現在のようなレベルではなかった」と語る。

 中国水産科学研究院の危起偉(Wei Qiwei)首席研究員は18年の学術会議で「03年から現在までハシナガチョウザメは一度も発見されず、また人工的に養殖された個体も残っていない」と発表している。(c)CNS-新京報/JCM/AFPBB News