【1月9日 AFP】日産自動車(Nissan Motor)前会長のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告(65)は8日の記者会見で、4か国語を駆使し、ベルサイユ宮殿(Palace of Versailles)での豪華なパーティーから日本当局による迫害、日産自動車(Nissan Motor)と仏ルノー(Renault)の統合に至るまで、話題をよどみなく変えながら、長い間待ち望んでいた反撃を繰り出した。

 世界各地からゴーン被告の故郷レバノンに集結した一流ジャーナリストらで埋まった会見場で、被告はまさに1年2か月にわたって沈黙を強いられてきた人物にふさわしい熱弁をふるった。

 3時間近くにわたった会見では、まずゴーン被告が記者らの前で独壇場を繰り広げた後、英語、フランス語、アラビア語、そしてポルトガル語で質疑応答を行い、記者らの問いに休む間もなく応じた。一息入れたのは、水を飲んだり、暖房の効き過ぎた室内で顔の汗をぬぐったり、最前列に座っていたキャロル(Carole Ghosn)夫人を抱きしめたりしたときだけだった。

 昨年、メディアの注目を避けるために着ていた作業着姿とは打って変わって、きりっとしたグレーのスーツに身を包んだゴーン被告は、自らの口で事件について語ることができる喜びをかみしめているかのようにも見えた。記者会見の冒頭でゴーン被告は「私はこの悪夢が始まってから初めて、自分自身を弁護し、自由に話すことができる」と話した。

 またゴーン被告は、ハリウッド映画ばりの人物という評判に沿うかのような発言もした。自身が国際手配された逃亡犯となる可能性について問われたゴーン被告は「私はミッション・インポッシブル(遂行不可能な任務)と言われるものに慣れている。多くのミッション・インポッシブルに関わってきた」と応じた。

 記者会見の大半はゴーン被告がでっち上げだと主張する容疑を晴らすことに費やされたが、多くが期待していた逃亡方法についての説明はなかった。

 ゴーン被告は、日本での勾留中は自分が死んだように感じていたが、レバノンに脱出してからは生き返った気分だと表明。「私はレバノンで友人に囲まれている。私に敬意を持ち、誇りに思ってくれる人々がいる。つらい経験の後、本当に必要としていたことだ」と語った。(c)AFP/Tony Gamal-Gabriel