【1月9日 AFP】陰部へのベビーパウダー(タルカムパウダー)の使用と卵巣がんには関連性はないとする研究結果が7日、米国医師会雑誌(JAMA)に発表された。25万人以上の女性を対象に米政府機関が主導して大規模な調査を行い、まとめたもので、JAMAの誌上には調査方法を評価し、結果について「総じて安心感を与える」ものだとする論説も掲載された。

 ベビーパウダーは臭いや湿気を取るため直接肌に塗るほか、下着や生理用ナプキン、タンポン、ペッサリーに振りかけるなどの用途で長年利用されており、一般的に高い年齢層の女性たちの間で多く使用されている。

 しかし、発がんリスクがあるとの研究報告もあることから、ベビーパウダーの使用に関しては長らく論争の的となっていた。米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は2018年、同社のベビーパウダーに含まれたアスベストにより卵巣がんを発症したと主張する女性22人に対し、47億ドル(約5100億円)の損害賠償の支払いを命じられており、現在も上訴審が続けられている。

 ベビーパウダーに使われる鉱物のタルクは実際アスベストの近くで形成されることも多く、1970年代にはタルクにアスベストが混入しているとの懸念が浮上。またパウダーが膣(ちつ)と子宮を経由して卵巣に侵入する疑いがあるとして、ベビーパウダー使用者の卵巣がん発症リスクは高いとする研究調査もある。

 米国立環境衛生科学研究所(NIEHS)のケイティ・オブライエン(Katie O'Brien)氏が率いた今回の調査で、研究チームは1982~2017年に収集された女性25万人超のデータを網羅した4回にわたる大規模調査を統合。

 パウダーを使用していた女性と一度も使用したことのない女性を比較したところ、統計的に有意な関連性は認められず、使用頻度や使用期間での比較でも関連性は見つからなかったという。

 英オープン大学(The Open University)のケビン・マッコンウェイ(Kevin McConway)名誉教授(応用統計学)は今回の調査について、「優良かつ十分で、慎重に行われた」と評価する一方、タルクとがんの関連性を完全に排除することはできないとも指摘している。(c)AFP/Ivan Couronne