【1月8日 AFP】イランは8日、米軍が駐留するイラクの2か所の基地にミサイル攻撃を実施した。イラン、米両当局が明らかにした。

 イラクでは先週、首都バグダッドの国際空港で、イラン革命防衛隊(IRGC)の精鋭部隊「コッズ部隊(Quds Force)」のガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官が米軍の無人機攻撃に遭い、死亡した。これに対し報復を誓ったイランの初めての攻撃となる。

 米国とイランの間で激化する軍事的対立について、図解と時系列でまとめた。

(1)2019年12月27日、キルクーク(Kirkuk)でイラク軍の基地がロケット弾による攻撃を受け、下請けの米国人民間業者1人が死亡。

(2)12月29日、イラクの武装組織「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ、Hezbollah Brigades)」の基地が米国の空爆を受け、少なくとも25人のイラク人戦闘員が死亡。

(3)12月31日、親イラン派デモ隊が在イラク米大使館を襲撃。これを受け、米政府は中東に兵士750人の増派を発表。

(4)2020年1月3日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の命令による空爆でソレイマニ司令官が死亡。

 イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師が報復を宣言した一方、米国防総省は中東地域に最大3500人の部隊を増派すると発表。

(5)1月4日、在イラク米国大使館がある首都バグダッドのグリーンゾーン(Green Zone)と、米軍が駐留するバラド(Balad)空軍基地に複数のロケット弾が着弾。

(6)1月4日、トランプ氏、イランが米国の国民または資産を攻撃した場合にはイランの施設52か所に対し「迅速かつ猛烈に」反撃すると警告。7日に発言を撤回。

(7)1月5日、ソレイマニ氏の遺体がイラクからイランのアフワズ(Ahvaz)に到着。その後マシャド(Mashhad)に移送され、6日には首都テヘランに。

 トランプ大統領はイランがソレイマニ氏の復讐(ふくしゅう)に出るなら「大規模な報復」があるだろうと警告。一方でイラクの米大使館近くにはロケット弾2発が着弾。

(8)1月7日、ソレイマニ氏の故郷で行われた葬儀に市民が殺到し、数十人が死亡。

(9)1月8日、米軍と有志連合軍が駐留するイラクの2基地に向け、イランが弾道ミサイル10発以上を発射。イランが米軍基地への攻撃を認めたのはこれが初めて。

 イランのミサイル攻撃を受け、トランプ大統領はホワイトハウス(White House)で演説し、攻撃によって米国人やイラク人の死者は出ず、イランは「身を引いているようだ」と述べ、同国との戦争を回避する姿勢を示した。

(c)AFP