■地図の共同作成ツール

 地図製作プロジェクトは、米国を拠点とする非営利ジャーナリズム団体「ピュリツァー・センター(Pulitzer Center)」と、地図作成を通じた人道・開発支援を行っている国際NPO「ヒューマニタリアン・オープンストリートマップ・チーム(Humanitarian OpenStreetMap TeamHOT)からの資金援助を受けて昨年9月に立ち上げられた。HOTは、地図を共同作成するために誰でも自由に使用できるオープンソースソフトウエアを提供している。

 地図作成プロジェクトでは、スラムに住む若者たちにドローンを操縦してもらい、集まった情報を使って、ナイジェリアの経済的中心都市の真ん中にぽっかりとあいたブラックホールを埋める地図を製作する。

「この新たなツールを使えば、国際機関や地元自治体が介入し、医療や飲料水といった基本的な行政サービスへのアクセス向上に乗り出すことができる」と、プロジェクトリーダーの一人であるジャコポ・オッタビアーニ(Jacopo Ottaviani)氏は言う。

 19世紀末に漁村として誕生したマココは以降、ラゴス同様に拡大し続け、今では海上まで張り出している。

 プロジェクトの第1段階では、ドローンを使ってこの地域の航空写真約1000枚を撮影し、エロモセレ氏などのコーディング専門家の手を借りてそれらをつなぎ合わせ、巨大な1枚の写真にする。

 コード・フォー・アフリカは、ドローンの操縦と地図の原版製作のデータ整理を任せるために、スラムに住む若い女性6人を選出した。将来的には他の住民らも情報を追加できるようになる。

 テクノロジーやデータジャーナリズムの自由な使用を奨励するコード・フォー・アフリカは、キャリアに結び付く経験を積めるよう意図的に女性たちを選んだという。

■一部の住民らは懐疑的

 だが、マココのすべての住民がこのプロジェクトを快く思っているわけではない。

 一部の住民が懸念を抱くのにはそれなりの理由がある。ラゴス州当局は2012年、住民らを立ち退かせるために、マココは環境的に危険だという理由を付けて警察を送り込んだのだ。

 ラゴスの人口の急増に伴い、開発業者らが土地を奪い合うようになり、空間をめぐる争いは1平方メートル単位で起きている。多くの場合、街から締め出され、郊外へと追いやられるのは貧困層だ。

 住民らが居住権を主張する際、マココの地図が役立てばと、ジェジェ氏は期待を寄せている。(c)AFP/Celia Lebur