【1月6日 AFP】イラク議会は5日、米無人機の攻撃により首都バグダッドの空港でイラン革命防衛隊(IRGC)の精鋭部隊「コッズ部隊(Quds Force)」のガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官らが殺害されたことを受け、国内に駐留する米軍の撤退を求める決議を可決した。これに対しドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は同日、イラクに「とても大きな制裁」を科すと警告した。

 米フロリダ州での休暇から首都ワシントンに戻る大統領専用機エアフォースワン(Air Force One)の機内でトランプ氏は、イラク駐留米軍が撤退を余儀なくされれば「対イラン制裁がおとなしく見えるほど」の「かつてない規模の制裁」をイラクに科すと警告。イラク国内にある米軍基地には「ばく大な費用」がかかっているとして、「イラク側がそれを返済しない限り、われわれは出て行かない」と述べた。

 また、トランプ氏はイランへの「大規模な報復」も改めて警告。攻撃対象にはイラン国内の文化遺産も含まれ得るとした先の発言に殺到している批判を一蹴し、「彼らは米国民を殺害できる。米国民を拷問し障害を負わせることも、道路脇に仕掛けた爆弾で米国民を吹き飛ばすこともできる。それなのに、われわれは彼らの文化遺産に触れることもできないというのか? そうはいかない」と記者団に語った。

 これに先立ち、臨時招集されたイラク議会はソレイマニ司令官を殺害した米国の攻撃を「政治的暗殺」と非難。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」掃討のためイラク政府の要請で2014年から国内各地に駐留する米軍部隊約5200人を含む有志連合の外国軍すべてについて、「掃討支援要請の破棄を政府に求める」決議を採択した。

 イラク内閣は何らかの決断を下す必要があるが、臨時議会に出席したアデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)暫定首相は演説で、米軍の撤退を支持すると表明している。(c)AFP