【1月2日 AFP】太平洋の島国パラオは1日、「サンゴ礁に有害」な日焼け止めを禁止する先駆的な法律を施行した。同国は、他にも世界最大級の海洋保護区の設置など厳しい環境対策を導入している。

 オーストラリアと日本のほぼ中間に位置する西太平洋のパラオは、世界有数のダイビングの名所として知られているが、その人気には代償を伴うと政府は警戒している。

 トミー・レメンゲサウ(Tommy Remengesau)大統領は、大半の日焼け止めに含まれる化学物質は、たとえ微量でもサンゴ礁には有害だという科学的根拠があると主張。人気のダイビングスポットが大勢の観光客でにぎわう中でこうした化学物質が蓄積し、サンゴ礁を回復不可能な状況に陥れかねないと懸念されていた。

 今月1日以降は、パラオに持ち込まれるか国内で販売されたサンゴ礁に有害な日焼け止めは全て没収され、所有者には1000ドル(約11万円)の罰金が科される。

 さらに、パラオは今月1日、以前から喧伝(けんでん)していた海洋生物保護区を設置し、排他的経済水域(EEZ)の80%での採掘やフカヒレ漁などの海洋活動を禁止する法律を施行。同法では、制限漁区で操業する大半の外国漁船はパラオ国内で水揚げして輸出税を払わなければならない。

 ウミー・センゲバウ(Umiich Sengebau)天然資源・環境・観光相は、同法によって制限漁区内で取れた魚を購入する優先権はパラオが有することになり、輸出が認められるのは内需を満たした後だと述べている。

 レメンゲサウ大統領は、長年、太平洋で大規模な商業漁業が行われてタイセイヨウクロマグロなどが危機的なレベルにまで激減しているため、今回の禁止措置は「海を回復させる」のに必要だったと述べている。(c)AFP/Bernadette Carreon