【12月31日 AFP】ルーマニア保健省は30日、国内の病院で22日に行われた膵臓(すいぞう)がんの女性(66)の手術中に、電気メスの火花がアルコール系消毒剤に引火して炎上し、女性は体の40%にやけどを負って死亡したと明らかにした。問題を抱える同国の医療に改めて注目が集まっている。

 エマニュエル・ウングレアーヌ(Emanuel Ungureanu)議員は自身のフェイスブック(Facebook)のページで、首都ブカレストにある救急病院の医療スタッフの話として、電気メスで可燃性消毒剤に引火して爆発的に燃焼し、女性の体は「たいまつのように燃えた」と述べた。看護師が女性の体にバケツで水をかけ、火が燃え広がるのを防いだという。

 保健省はこの「不運な事故」を調査するとしている。ルーマニア保健省の次官は「医師らは電気メスを使った手術でアルコール系消毒剤の使用が禁止されていることを認識しておくべきだった」とコメントした。

 女性の遺族は医療スタッフから「事故」について説明を受けたと話したが、詳細について明らかにすることは避けた。

 ルーマニアの医療は、一部に予算の増額による改善もみられる一方、病院は機器の老朽化や医師不足の問題を現在も抱えており、不祥事も繰り返し起きている。

 2015年にはナイトクラブの火災により現場で26人、後に38人の計64人が亡くなった。負傷者たちが設備の不十分な国内の病院で死亡したことで、当時の保健相はやけどを負った人の外国への移送を遅延、さらには阻止さえしたとして批判された。これについては現在も調査が続けられている。(c)AFP