【12月31日 AFP】(写真追加)森林火災が猛威を振るっているオーストラリア南東部で31日、ビクトリア(Victoria)州沿岸の人気観光地マラコータ(Mallacoota)が火に取り囲まれ、住民や観光客4000人が取り残される事態となっている。火災の煙で昼間でも暗くなり、付近では激しい雷雨も降った。

 ビクトリア州緊急管理局(Emergency Management Victoria)のアンドリュー・クリスプ(Andrew Crisp)局長は公共放送ABCに対し、火はマラコータに達する勢いで非常に懸念しており、ビーチにいる約4000人を保護するため消防の特別救助隊を3チーム編成したと述べた。海や空から救助する準備も進行中だと報じられている。

 当局は数日前から、オーストラリアの夏を楽しんでいた約3万人の観光客にこの地域から避難するよう求めていた。

 延焼地域の温度は数百度に達することもあり、火が達するかなり前でも付近にいる人が死亡する恐れがある。ビクトリア州緊急管理局は、海は「避難場所として最後の選択肢だ」としている。ソーシャルメディアでは、火を逃れて水に入る時に備えて、ライフジャケットを着たという住民らの投稿もあった。

 ビクトリア州の北に隣接するニューサウスウェールズ(New South Wales)州でも森林火災が急速に広がっており、州当局は森林地帯から離れて大きな町やビーチに逃げるよう呼び掛けている。

 オーストラリアで数か月前から続いている前例のない規模の一連の森林火災は、新たな熱波と強風でさらに勢いを増しており、シドニーやメルボルンといった大都市にも危険が迫っている。

 ニューサウスウェールズ州の地方消防局(RFS)によると、シドニーの南西で5時間以上にわたって消火活動に当たっていたボランティア消防士1人が死亡し、2人がやけどを負った。同消防局はツイッター(Twitter)への投稿で、「強風に見舞われてトラックが横転したとみられる」と明らかにした。

 これ以外に、今回の森林火災のシーズンはこれまでにボランティア消防隊員2人を含む10人が亡くなっている。

 オーストラリア第2の都市であるメルボルン当局は、先に出していた非常警報のレベルを下げたが、住民に対し火災から遠ざかるよう呼び掛けている。30日にはメルボルン郊外の5か所で住民約10万人に避難が呼び掛けられた。

 ビクトリア州緊急当局によると、メルボルン中心部から北に約16キロ離れたバンドゥーラ(Bundoora)では、住宅街方面への火災の拡大は今のところ落ち着いているものの、火の勢いは食い止められずにいる。バンドゥーラには大きな大学2校のキャンパスがある。

 地元メディアは、住宅街の上空を消防飛行機が飛び、住民らが火災の拡大阻止を願って家屋にホースで水をかける様子などを伝えた。

 森林火災は長引く干ばつと気候変動によって猛烈な勢いになっている。30日はウエスタンオーストラリア(Western Australia)州で気温が47度に達するなど、普段はそれほど暑くないタスマニア(Tasmania)州を含むオーストラリアのすべての州で40度を超えた。

 森林火災により気候変動への関心が集まっており、地球温暖化への即時対応を求める抗議デモが行われている。(c)AFP