【1月11日 AFP】発祥の地である日本から世界各地に広まるカプセルホテルが、イタリア・ミラノ(Milan)でもこのほど開業し、激増する観光客の対処に一役買っている。

 このカプセルホテルは「ジェネレーションY(Generation Y、1980年代から2000年代初頭に生まれた世代)」をターゲットにしているが、純粋な好奇心から宿泊する人もいる。

 クロアチア人観光客の男性(31)は、「寝泊まりするボックスといったもの」が「斬新で近未来的」なので泊まってみたかったと語った。

 市中心部の静かな通りにあるカプセルホテル「オステルズ(Ostelzzz)」で丸太のように眠った男性は、カプセルホテルにもっと泊まりたいと語り、「とても良かった。こういったホテルがもっと展開されるべきだ」「多くの人は(2段ベッドなどで)プライバシーがないのを嫌ってユースホステルを避けるけど、ここにはあるから」と話した。

 このホテルの料金は朝食付きで一泊19ユーロ(約2300円)。世界的に有名なデザインの祭典「ミラノデザインウィーク(Milano Design Week)」の開催週には150ユーロ(約1万8000円)になる。

■日本発祥のカプセルホテル

 カプセルホテルは1979年に大阪で誕生したと、トラベルブロガーのアニエーゼ・サバティーニ(Agnese Sabatini)さんはAFPの取材で語った。

 カプセルホテルはまず、酒を飲み過ぎたり、終電を逃したりした通勤客らに重宝され人気となった。

 このアイデアはパリからモスクワ、バンコクまで、世界中の空港を足掛かりに、シンガポールやソウル、ムンバイなどの都市部に広まった。

 空港以外にカプセルホテルがあまりない欧州にも、オランダの首都アムステルダムの「シティハブ(City Hub)」の例があり、昨年末にはスイス中部ルツェルン(Lucerne)にも1軒オープンした。

 ミラノはイタリアで初めてカプセルホテルが開業した都市となったが、運営会社「ズリープアンドゴー(ZZZleepandGo)」は事業をさらに拡大する予定だ。

 同社のジャンマリア・レト(Gianmaria Leto)最高経営責任者(CEO)は、6か所の空港にカプセルホテルを開業する計画を立てており、今年の終わりまでにミラノとワルシャワでオープンし、その後ウィーンとブラジル国内4都市で続き、この業種では同社が世界最大の事業者になると話した。

 32歳のレト氏は事業目標として、年5~6軒ずつ空港で開業させるのに加え、「欧州の主要都市に今後5年間、年に1、2軒ずつ(カプセル)ホテルを開業する」ことを掲げた。

 ミラノでは、2015年に同市で万博が開催されて以来、ファッションウィークやデザインウィークをはじめ、大聖堂や美術館、活気のあるナイトライフなどのおかげもあり、観光ブームに沸き返っている。

 2011年には420万人だった同市の観光客数は、2018年には680万人にまで増加。うち65%が外国人だった。

 2018年9月は70万人を記録し、前年同月比で18%増。その多くは若者たちだった。

 ズリープアンドゴーのファビオ・ロケッティ(Fabio Rocchetti)最高執行責任者(COO)は、「4年前にはユースホステルは3軒しかなかったが、今は26軒ある」「並外れた成長だ」と語った。

 映像は2019年10月撮影。(c)AFP/Celine CORNU