【12月31日 AFP】米国がイラクの親イラン派武装組織に対して空爆を実施したことを受け、イラク政府は30日、米国との関係を見直すと表明した。イラク国内では空爆に抗議する街頭デモが行われ、参加者が米国旗を燃やして怒りをあらわにした。

 米軍は29日夜、イラクの武装組織「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ、Hezbollah Brigades)」の複数拠点を空爆。少なくとも25人が死亡した。同組織は、イランを後ろ盾とするイラクの民兵組織「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」の傘下組織の中でも特に過激なグループの一つ。

 イラクは現在、いずれも同盟国であるイランと米国の間の緊張の高まりで板挟みになっているほか、政治腐敗とイランの影響力の高まりに抗議する大規模な街頭デモへの対応にも苦慮。デモを受けてアデル・アブドルマハデ(Abdel Abdul- Mahdi)首相が辞意を表明したため、現政権は次期首相が決まるまでの暫定政府となっている。

 暫定政府は声明で米国の空爆を非難し、米国との関係に影響を及ぼす恐れがあると警告。「米軍はイラク側の優先事項でなく、自国の政治的優先事項に基づき行動した」とし、このような空爆は「イラクの主権を侵害」し、「イラクに対して、主権保護のために米国との関係や安全保障、政治、法律上の枠組みの見直しを強いる」ものだと言明した。(c)AFP