【12月29日 AFP】かつてない規模の森林火災に見舞われているオーストラリアで、シドニー恒例の年越しイベントとなっている花火大会を中止して、その資金を森林火災の対応に回そうという請願書への署名が26万人分に達したが、シドニー市は29日、予定通り花火大会を行うと発表した。

 シドニー市が計上した今年の花火大会予算は650万オーストラリア・ドル(約4億9600万円)。これに対し、花火の予算を森林火災と闘うボランティア消防士や干ばつ被害に苦しむ農家らの支援に使用するべきとの署名運動がオンライン署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ(Change.org)」に立ち上げられ、29日までに26万人分の署名が集まった。

 シドニー市報道官は、「そうした懸念は理解している」とした上で、花火大会の準備は15か月前から進められており、中止しても被災地域への実益は「ほとんどない」と説明。すでに予算の大半が安全対策や清掃に使われたという。さらに報道官は「花火大会を中止すればシドニーのビジネス界に深刻な打撃を与え、国内外から花火を楽しみに訪れる何万人もの人たちを失望させることになる」と付け加えた。

 シドニーで大みそかに行われる花火大会は、テレビ中継などで世界の推定10億人が観賞。毎年、シドニーのあるニューサウスウェールズ(New South Wales)州に1億3000万オーストラリア・ドル(約99億円)の経済効果をもたらしている。(c)AFP