【12月28日 AFP】2019年は気候変動に起因し10億ドル(約1090億円)以上の経済的損失をもたらした自然災害が少なくとも15件発生したと、英ロンドンの国際援助団体「クリスチャン・エイド(Christian Aid)」が27日公表した報告書で明らかにした。

 クリスチャン・エイドは、各国政府の公式統計や、非政府組織(NGO)や援助団体による推計データ、科学研究やメディア報道に基づいて被害額を推計した。

 推定被害額が100億ドル(約1兆900億円)を超えた災害も7件あった。この7件は、インド北部に壊滅的被害をもたらした洪水や、中国を襲った台風9号(アジア名:レキマー、Lekima)、米国を襲ったハリケーン「ドリアン(Dorian)」、中国の洪水、米国の中西部と南部での洪水、日本を襲った台風19号(アジア名:ハギビス、Hagibis)のほか、250億ドル(約2兆7400億ドル)と最も大きな被害を出した米カリフォルニア州での山火事。

 クリスチャン・エイドは、「こうしたデータでは保険がかけられていた経済的損失のみが示されることが多いため、生産性の損失や、保険がかけられていなかった損失は含まれず、全体の損害額が実際より低く見積もられる傾向がある」としている。

 また、今年発生した災害によって多くの人が避難を余儀なくされた上、広範囲で死者が出たことにも触れ、今年の災害犠牲者の圧倒的多数をインドとアフリカ南部で起きたわずか2つの災害の被災者が占めたとして、「世界で最も貧しい人々が気候変動による犠牲を最も多く払っていることが示されている」と指摘した。

 一方で「経済的損失額は裕福な国々の方が大きく、損失額が最も多かった災害4件のうち3件は日本と米国で発生したものだった」という。

 クリスチャン・エイドは、「世界の気候は今後いっそう極端なものになり、世界中の人々はその犠牲を払い続けるだろう。当面の課題は、温室効果ガスを速やかに大幅削減し、影響を最小限にとどめることだ」としている。(c)AFP