【12月28日 AFP】ロシア反ドーピング機関(RUSADA)のユーリ・ガヌス(Yury Ganus)事務局長は27日、ドーピング違反をめぐり同国がスポーツの主要大会から4年間の出場停止処分を科されてウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が「不当」と反発していた件に関して、正式に異議を申し立てたことを明らかにした。

 ガヌス事務局長は、ロシア・モスクワで報道陣に対し、「正式な手続きに従い、本日われわれは世界反ドーピング機関(WADA)に文書一式を送付した」「その中には、WADAの制裁に対する不服申し立てが含まれている」と述べた。しかしながら、以前からドーピング違反に対する国の大規模な取り締まりを訴えてきた同氏は、今回の法的な異議申し立てが裏目になりかねないとも警告した。

 WADAに正式な異議申し立てが行われたことにより、制裁への上訴手続きはスイス・ローザンヌ(Lausanne)に拠点を置くスポーツ仲裁裁判所(CAS)に持ち込まれることになる。WADAは同日、RUSADAから文書を受け取ったことをコメント文で公表し、すべての関連事項を拘束する最終決定権を持つCASに、この問題を即座に委ねる意向を示した。

 その厳格なスタンスでロシア政府やRUSADAの監査委員会と対立しているガヌス事務局長は、改革を可能にするためには政府が制裁を受け入れ、誤りを認める必要があると訴えている。その一方で、自分には監査委員会の意思を伝える義務があると話した。

 ガヌス事務局長はまた、反ドーピング組織内での個人的な立場を示す書簡をWADAに送り、「残念ながら、RUSADAの今回の通達に変化をもたらそうとしたことを含め、私の努力はすべて失敗したことをお知らせする」と伝えた。26日にはAFPの取材に対して、制裁を覆すことは「ほとんど不可能である」と述べていた。(c)AFP/Victoria LOGUINOVA-YAKOVLEVA