【2月8日 AFP】ケイ・ウィルソン(Kay Wilson)さんは昨年、米カリフォルニア州ロサンゼルスに引っ越してきた。だがロサンゼルスでは、ペンシルベニア州で住んでいた居心地のいいワンルームのアパートに支払っていた家賃では、広さ2.9平方メートルの箱のような住まいしか借りられなかった。

 ウィルソンさんの新居は、日本のカプセルホテルから着想を得たカプセルシェアハウスだ。

 このシェアハウスは米企業「UP(st)ART」のもので、手頃な家賃で住める場所を必要としているアーティスト志望の若者をターゲットにしている。

 各部屋には最大六つのカプセルが設置されており、カプセル内にはシングルベッド、洋服掛け、靴などを入れる収納ボックスが数個、換気口が設置されている。

 1か月税込みで約800ドル(約8万8000円)という家賃は決して安くはない。だが、ウィルソンさんは、「自分一人ではワンルームアパートの家賃を払えない。絶対に無理」「(ワンルームの)家賃は1300ドル(約14万円)以上する」とAFPに語った。

 UP(st)ARTの創業者ジェレマイア・アドラー(Jeremiah Adler)氏によると、カプセルの家賃は、ロサンゼルスなど家賃相場の高い都市のワンルームアパートのおよそ半額だという。

 もっと安い選択肢もあるが、UP(st)ARTは都心の好立地で、近代的で、ジムやダンス教室、レコーディングスタジオ、アートのワークショップがある他、無料の掃除・洗濯サービスも提供している。男女別のスペースに分かれており、さまざまな規則がある。性行為は禁止だ。

 カプセル型の住居は、ロサンゼルス以外にニューヨークなど家賃相場が高い他の都市でも人気を集めている。

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の教授で建築家のダナ・カフ(Dana Cuff)氏は、こうした共同住宅は短期的な解決策にすぎないと指摘する。「基本的には住居の選択肢の幅を広げることが必要だ」と語った。

■ミニマリスト

 今日は「タコス・ナイト」で、4棟から成るシェアハウスの共用スペースには50人ほどの住民が集まっていた。

 カナダ出身の画家で、ここで暮らし始めて1年になるキンマ・ムーンシャイン(Kimma Moonshine)さん(27)は、90人との共同生活に圧迫感を感じたことはないと話す。家賃は以前の住居の方が安かったが、今の暮らしが気に入っていると言う。「ミニマムに暮らす方法を学べる」

  映像は2019年10月撮影。(c)AFP/Javier TOVAR