【4月27日 AFP】サッカー元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏は、20世紀最高のサッカー選手とたたえられることもあれば、特にイングランドでは神の手を持ついかさま師と呼ばれることもある。しかしながらイタリアでは、今も、そしてこれからもずっと、ナポリ(Naples)の守護聖人であり続けるだろう。

 ナポリ北部の貧困地区セコンディリャーノ(Secondigliano)ではよく見られる建物の地下倉庫には、聖人が祭壇でまつられているかのように、マラドーナ氏をたたえるミュージアムが存在する。

 そこには、1986年に開催されたW杯メキシコ大会(1986 World Cup)準決勝のベルギー戦で2得点を記録した際に履いていた左足のスパイクや、イタリア・セリエAのナポリ(SSC Napoli)との最初の契約書など、同氏にまつわる数々の逸品が収められている。

 さらにはナポリ時代の自宅から運ばれたソファまであり、これにはスペイン人歌手のフリオ・イグレシアス(Julio Iglesias)さんも座ったことがあるという。

 マラドーナ氏は1984年7月にスペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)から、当時最高額となる推定1048万ドルでナポリに移籍。バルセロナでのプレーが期待外れに終わった後、逃げるようにして移籍したナポリでは7年間を過ごし、1986-87シーズンには主将として同クラブ初のリーグ制覇に貢献した。

 その3年後にも再びセリエA優勝を果たしたナポリは、マラドーナ氏を擁してイタリア杯(Italian Cup)とUEFAカップ(UEFA Cup)、そしてイタリア・スーパーカップ(Italian Super Cup)も制覇。その後、同クラブがこの黄金時代に迫る成績を記録したことは一度もないため、マラドーナ氏の素晴らしい功績をたたえるミュージアムが存在しても何ら不思議ではない。

 その中でもマッシモ・ビニャティ(Massimo Vignati)さんが所有するこのミュージアムは、ほかに類を見ないものとなっている。ナポリの地図や旅行ガイドには記載されておらず、入場料も必要ない。しかし、そこにはディエゴに関するすべてが息づいている。

 展示されているアイテムは、マラドーナ氏の熱狂的ファンが喜ぶような写真、ペナント、ボール、アームバンドのほか、一部にはそうでないものもあるが、洗濯されたり、サインが入ったりしたユニホームもある。

 中には選手時代のマラドーナ氏がナポリの本拠地サン・パオロ・スタジアム(San Paolo Stadium)で着替えに使っていたベンチや、1989年にドイツ・ブンデスリーガ1部のバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)戦を控えてリフティングしているときに着用していた有名なジャケットなど、まさに聖遺物に匹敵するような品々も存在する。