【12月26日 AFP】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問が党首を務める国民民主連盟(NLD)の報道官は26日、イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)へのジェノサイド(集団殺害)が問われた国際司法裁判所(ICJ)での裁判で、国を擁護する弁論に立ったスー・チー氏への支持を表明する集会を計画していた党関係者が、ラカイン(Rakhine)州で殺害されたと発表した。

 死亡したのは、NLDのラカイン州ブティダウン(Buthidaung)代表を務めていたイェ・テイン(Ye Thein)氏。仏教徒の少数民族ラカイン人の自治権拡大を求める武装組織アラカン軍(Arakan Army)に今月11日に拉致され、以後身柄を拘束されていた。

 アラカン軍は、イェ・テイン氏がクリスマスの25日に発生した軍による襲撃で殺害されたと説明しているが、真偽は確認されていない。これに対しNLDの同報道官は、アラカン軍による犯行だと断定している。

 イェ・テイン氏が拘束された11日は、スー・チー氏が国際司法裁判所で口頭弁論を行った初日。アラカン軍は審理に先立ち、裁判を支持する姿勢を示し、ミャンマーでは市民と認められていないロヒンギャに対して異例の連帯を表明していた。

 裁判では、イスラム協力機構(OIC)などの支持を得た西アフリカのガンビアが原告となり、ミャンマーによるロヒンギャ掃討作戦がジェノサイド条約に違反したと訴えている。スー・チー氏は口頭弁論の冒頭で、「ジェノサイドの意図」を裏付ける証拠はなく、軍による作戦は、ロヒンギャ武装勢力からの襲撃に対応したものだと述べていた。(c)AFP