【12月27日 AFP】今年初めソマリアで起きた干ばつで、飼っていたヤギが脱水症状で死んだ時、マカ・アブディ・アリ(Maka Abdi Ali)さん(67)は雨が降ってほしいと心から願った。

 だが、ようやく雨が降り出した時、自然は無慈悲だった。

 10月に発生した集中豪雨は鉄砲水を引き起こし、アリさんの粗末な家屋とわずかな所有物を破壊しただけでなく、数か月にわたる干ばつの間どうにか守り続けてきた農作物や痩せこけた家畜をすべて流し去ってしまった。

 ソマリア中部ベレトウェイン(Beledweyne)郊外の荒れ果てた被災者キャンプで取材に応じたアリさんは、「今は何も残っていない」とつぶやいた。

 このキャンプには、ソマリア史上最悪規模の大洪水から逃れて来た18万人の被災者が身を寄せている。

 アフリカの角(Horn of Africa)と呼ばれる不毛地帯に位置するソマリアは、常に過酷な気候に苦しめられてきた。降雨の間隔は一定しておらず、干ばつは日常的なものとなっている。

 だが、近年は壊滅的な気象現象が以前よりも大規模に、そして頻繁に発生するようになっており、こうしたほぼ一定の危機サイクルに捕らわれている国民は数百万人に上る。

 専門家らは、復興能力が徐々に失われていると指摘する。家屋を再建し、食料を補充する間もなく次の災害が発生する。

 数十年にわたる内戦や反政府武装闘争で経済が低迷し、国力が低下したソマリアは、二重の自然災害による打撃に対処するための十分な備えができていない。復興予算は、立て続けに発生する緊急事態への対応に充てるため、徐々に減っていく。

 国連(UN)は5月、干ばつに見舞われ史上最悪の収穫高を記録したソマリアで飢餓が発生する恐れがあると警告し、各国政府に支援を要請。その半年後、今度は洪水の犠牲者50万人に対し7250万ドル(約79億4000万円)の経済支援を呼び掛けた。

 国連の在ソマリア・人道問題調整事務所(OCHA)のアビゲイル・ハートリー(Abigail Hartley)副所長は、「今年は干ばつか洪水のいずれかが議題に上らなかった日は一日もなかった」と述べている。(c)AFP/Nick Perry