【12月25日 AFP】フランス東部のユングホルツ(Jungholtz)のユダヤ人墓地を、リオネル・ゴドメ(Lionel Godmet)さんは枯れ葉を踏みながら歩いていく。胸に着けたバッジにはフランス語で「記憶の守り手」と書かれている。

 この墓地は何世紀にもわたり歴史に打ちのめされ、ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)で破滅同然に追いやられたユダヤ人たちがフランスにいたという「記憶」の証しとなっている。

 ゴドメさんはユダヤ人ではない。だが、ユダヤ人墓地荒らしが相次いで発生していることを受け、アルザス(Alsace)地方では墓地を巡回するボランティアを申し出る人が増えている。ゴドメさんはその一人だ。

 宗教の教師であるゴドメさんは、地元自治体が10月に立ち上げた記憶の守り手ネットワークに所属する20人の一人だ。メンバーは、墓地とその周辺で発生するあらゆる問題を当局に報告することになっている。

 記憶の守り手らは、自分たちで墓地を巡回する頻度を決めることができる。また、破壊行為に遭遇しても、介入しないようにとの助言を受けている。

 ゴドメさんはこのボランティアの仕事を「市民の義務だ」と話す。「ユダヤ人墓地は私たちの遺産であり、歴史だ」