【12月24日 AFP】飾り付けが終わりキラキラと輝くツリー、ミニチュアのサンタクロース…ハナディ・ミサック(Hanadi Missak)さん(48)のアパートは、すっかりクリスマスを迎える準備ができている。だが、クリスマスの休日を家で過ごすのかと思うと彼女は悲しい気持ちになる。

 パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)に住むキリスト教徒のパレスチナ人数百人は、イエス・キリスト(Jesus Christ)の誕生を祝うため、イスラエルの占領下にある同自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のベツレヘム(Bethlehem)訪問を許可するようイスラエル当局に申請した。ガザ地区にあるキリスト教系の学校で副校長を務めるミサックさんもその一人だ。

 教会関係者らによると、通常なら簡単に済む手続きが今年は非常に難しくなっており、許可が下りたのは5人に1人程度の割合だという。

 祝賀行事の開始に間に合わなくなり、ミサックさんはベツレヘム行きをあきらめた。「ベツレヘムへ行きたかったけれど、状況が許してくれなかった」とミサックさんはAFPに語った。

 幅数キロ、長さ40キロの狭く細長い土地に200万人がひしめくように暮らすガザ地区全体で、キリスト教徒は1000人余りしかいない。ガザ地区はイスラエルによって、ベツレヘムがある同じパレスチナ自治区のヨルダン川西岸とは切り離されており、ガザ地区とヨルダン川西岸を行き来するにはイスラエル当局の許可が必要とされている。

 ガザに住むキリスト教徒で、ベツレヘムやエルサレム(Jerusalem)で行われるクリスマス行事に出席するためにその許可を得られるのは毎年数百人だ。

 今年はイスラエル当局が許可について何ら発表していなかったため、教会やメディアが批判していた。許可を所管するイスラエル国防省の民政官事務所(COGAT)は22日になって、「治安関連の評価に従って」一部には許可が下りると発表した。

 映像は23日撮影。(c)AFP