【12月24日 AFP】アルジェリアのアハメド・ガイドサラハ(Ahmed Gaid Salah)軍参謀総長が23日、死去した。79歳だった。激動の1年となった2019年の年末を迎える中、同国の政治危機が深まる恐れが懸念される。

 ガイドサラハ氏は23日午前6時(日本時間同日午後2時)ごろ、自宅で心臓発作のため亡くなった。遺体は軍の病院に運ばれた。

 アルジェリアでは、長期政権を維持してきたアブデルアジズ・ブーテフリカ(Abdelaziz Bouteflika)前大統領が5選を目指し大統領選に出馬すると表明したことを受け、大規模な抗議デモが発生。今年4月にブーテフリカ氏が辞任に追い込まれて以後、ガイドサラハ氏は同国の事実上の最高実力者と見なされていた。

 生涯を軍人としてささげたガイドサラハ氏が最後に公の場に姿を見せたのは、19日に行われたアブデルマジド・テブン(Abdelmadjid Tebboune)大統領の就任宣誓式だった。

 元首相でガイドサラハ氏に近いとみられていたテブン氏は、今月12日投票の大統領選で当選。デモ隊は抜本的な政治改革を断行した上での選挙を求めていたが、ガイドサラハ氏は大統領選の実施を推し進め、デモ隊の要求は無視される形となった。

 ガイドサラハ氏は1940年、首都アルジェから南西約300キロのバトナ(Batna)生まれ。17歳でアルジェリア民族解放戦線(FLN)の軍事組織、民族解放軍(ALN)に入り、8年間続いたフランスからの独立戦争であるアルジェリア戦争に参加した。

 アルジェリア独立後に軍に入り、ソ連の士官学校への留学を経て昇進を続け、15年という異例の長期にわたって軍参謀総長を務めた。同国で続いていた軍主導体制の守護者とされている。

 テブン大統領は国民に対話を呼び掛けているが、国民の多くは対話を拒否して抗議デモを続けている。(c)AFP