【12月24日 AFP】英首都ロンドンの少女が購入したクリスマスカードの中に、中国・上海の刑務所に収容されている外国人受刑者らが書いたとされるメッセージを発見したと英紙が報じたことを受け、受刑者らが強制労働に従事させられているとの疑惑を中国政府が否定したことについて、記事を執筆した英国人の元ジャーナリスト、ピーター・ハンフリー(Peter Humphrey)氏は23日、中国の反応は「うそ」だと一蹴した。

 ハンフリー氏自身、問題になっている上海の青浦刑務所(Qingpu Prison)に収監されていた。

 英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)は先週末、スーパーマーケット大手「テスコ(Tesco)」がチャリティーの資金調達のために販売したカードから、制作者である受刑者の助けを求めるメッセージが見つかったと報道。これを受けてテスコは、中国の工場での生産を中止したと発表していた。

 中国外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局長は首都北京で開いた定例記者会見で、「複数の関係部局に説明を求めたところ、青浦刑務所では外国人受刑者による強制労働の実態は一切ないと、責任をもって言える」と述べていた。

 これを受けてハンフリー氏は「これは本当に予期した通りだ。このような問題が浮上した際、世界に対してうそしか言い返さないのだから」と話した。

 また同氏は、中国における受刑者らがこのような形でメッセージを外部に発信したのはこれが初めてではないとも指摘した。

 中国内外の受刑者が収容されている青浦刑務所のウェブサイトには、同刑務所が「合法的な文化交流の場を提供」していると記されている。

 同サイトには、現代的な複数の建物、緑の芝生、青空を捉えた写真が掲載され、受刑者らに「法律全般、道徳、文化、技能、その他の基礎教育に関する講義」を提供すると記されている。

 しかしこれは、その不透明さで知られる中国の刑務所制度を経験した元受刑者らの話とは著しい対照をなす。

 ハンフリー氏は、受刑者らは意思に反して労働を強いられていると思うと主張。「工場の台に鎖でつながれたり、むち打たれたりしていることを意味しているわけではない。強制される立場に置かれているということだ」と述べた。(c)AFP