【1月5日 東方新報】中国の国務院新聞弁公室が昨年12月9日に行った記者会見で、商務部対外貿易司の李興乾(Li Xingqian)司長は、2019年の対外貿易が30兆元(約468兆円)規模で依然安定しているとの見方を示した。「米中貿易戦争」の逆風の前に悲観的な予測もあったが、思った以上に中国対外貿易に底力、抵抗力があったといえそうだ。

 2019年1~11月の対外貿易輸出入総額は28兆5000億元(約442兆円)で、前年同期比2.4%増だった。国際比較でみれば、中国の輸出成長速度は全世界の平均より高かった。対外貿易の強靱(きょうじん)さの理由に挙げられるのは、民営企業の輸出比率が51.4%を占め、依然中国の輸出の半分以上が民営経済に支えられていること。中でも外資企業を戦略的に利用し、外商投資産業の構造の優化を持続して、ハイエンド産業に資金を集中させ続けてきたことにより、外資企業輸出入がすでに中国の対外貿易の重要構成部分になっていることが大きいとみられている。

 任鴻斌(Ren Hongbin)商務部長補佐の説明では、2018年のハイテク産業で実質使用された外資は2117億5000万元(約3兆3000億円)で全体の23.9%を占める。今年1~10月の外商投資企業の輸出入総額は1兆5000億ドル(約164兆円)で全国におけるその比重は40.3%。外商投資企業輸出額中、47.3%がハイテク新技術産品の輸出で、全国ハイテク新技術産品輸出の63.7%を占めている。外商投資企業はすでに対外貿易の高品質発展を推進する重要なパワーとなっているという。

 商務部としてはさらに貿易市場の対外開放を拡大し、今年施行される「外商投資法」とそれに伴う措置を着実に実施して、外資の経営環境の優化を進めていきたい考えを示した。

 経済コラムニストの蔡恩沢(Cai Enze)氏は上海証券に寄せたコラムで、「中共中央・国務院による貿易のハイクオリティー発展に関する指導的意見」が、双方向投資の推進が貿易の持続可能な発展の重要なカギだと指摘している点に触れながら、商品などの流動型開放から、規則・制度型の開放への転換を急ぐことが、さらなるハイレベルの開放型経済新体制を建設するとした。その上で、対外経済貿易の法律・ルールをより完全にすることで、新たなイノベーションを駆動し、貿易競争の優勢を育成できる力となると指摘。

「外商投資法」施行を念頭に、今後の中国の対外開放路線が、モノや人の流通にとどまらず、法律・ルールの対外開放にシフトしていくことで、貿易協力の深化や新たな投資協力を生み、「一帯一路(Belt and Road)」の経済貿易領域でも協力・ウィンウィンの開放システムがさらによりよいものとなると予想。一帯一路を中心に世界に向けた新たなハイレベルの自由貿易区ネットワークを形成していくことへの期待感を示した。(c)東方新報/AFPBB News