【12月23日 AFP】オーストラリア東部で気候変動による森林火災が猛威を振るう中、同国のスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は23日、石炭産業の縮小を求める環境活動家らの声に対し、「無謀」で「雇用が失われる」と述べ要求を拒否した。同首相は、未曽有の森林火災のさなかに家族と休暇に出掛けたことで批判を浴びている。

 モリソン氏の自由党が主導する保守連合政権は、選挙の激戦区において雇用を提供している石炭産業を固く擁護してきた。

 オーストラリアの石炭輸出量は世界の3分の1を占め、同国が輸出する化石燃料全体で世界の二酸化炭素(CO2)排出量の約7%を占めるとされる。

 モリソン氏は23日朝、複数のインタビューで石炭産業の縮小について否定。豪テレビ、セブン・ネットワーク(Seven Network)に対し、「私は大勢のオーストラリア人が伝統的な石炭産業の職を離れるようなことをするつもりはない」と主張した。また同ナイン・ネットワーク(Nine Network)に対しては、「われわれは無謀で雇用を破壊し、経済に打撃を与えるような目標には着手しない」と明言した。

 今年のオーストラリアの森林火災では、ベルギーの国土にほぼ匹敵する面積が焼失し、東部の大都市が有毒煙に覆われた。モリソン氏は、そのさなかに家族と米ハワイへバカンスに出掛けたことで批判を浴びていたが、メディアを通じてアピールすることで政治的影響を抑えようとしている。(c)AFP/Andrew BEATTY