【12月23日 AFP】シリア北西部イドリブ(Idlib)県で激化している戦闘に伴い、シリア難民が新たに増加していることを受けて、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は23日、欧州諸国に対しトルコだけでは難民の受け入れには対処できないと訴えた。

 反体制派の拠点となっている同県南部のマーラトヌマン(Maaret al-Numan)では今月16日以降、シリア政府軍との戦闘が激化。政府軍を支援するロシア軍の空爆が度重なり、住民数万人がトルコとの国境に向けて避難を開始した。

 エルドアン大統領はイドリブ県から8万人以上がトルコ国境周辺に押し寄せていると説明し、「トルコはシリアから新たに流入する難民の波に対処できない」と訴えた。また、難民の数が今後さらに増えるなら、「トルコは単独で負担を引き受けることはしない」と述べ、「わが国が被る悪影響は、欧州各国、特にギリシャが経験していることと同様の問題だ」と語った。

 トルコと欧州連合(EU)は2016年、欧州への移民流入をくい止めるために、ギリシャに密航してきた移民をトルコに強制送還する合意を交わした。エルドアン氏は、欧州が再びこの合意以前の状況に直面する恐れがあると警告している。

 合意以前の2015年には第2次世界大戦(World War II)後最悪規模の難民危機が発生し、欧州に100万人以上の難民があふれていた。2016年の合意では、トルコが欧州に向かう移民や難民の管理を強化する見返りとして、EUがトルコに66億ドル(約7200億円)の財政支援を約束した。(c)AFP