■森林伐採

 これらの幹線道路は1970年代初め、遠隔地の人口を増やす目的で当時の軍事独裁政権によって建設された。こうした遠隔地をめぐっては、人が住んでいないために諸外国からの侵入を受けやすいとする見方があったが、実際には先住民や伝統的な暮らしを送るコミュニティーが存在していた。

 道路が建設されると、土地とよりよい未来を約束する熱帯雨林に引き寄せられるように、地方の貧困層が開拓者として押し寄せてきた。そして、農地開墾のため、ジャトバやイタウバ、マルパなどの木を伐採したのだ。

 その後、数十年にわたって牧畜業者や大豆農家、違法伐採者などが、森林のより深い場所へと入り込み、森林伐採は加速度的に広がっていった。アマゾン盆地の人口は現在、2000万人以上ともいわれている。

 アマゾン環境調査研究所(IPAM)の元研究者であるソコロ・ペナ(Socorro Pena)氏はAFPの取材に応じ、BR230号線とBR163号線沿いを対象とした調査では、幹線道路の建設によって道の左右50キロずつの範囲で伐採作業が可能になると述べ、「大きな道路と大規模インフラ計画が森林伐採と環境問題を加速させ、元からいる住民らに大きな影響を与えてしまう」と指摘した。

■効率の悪さと今後の見通し

 マトグロソ州シノプ(Sinop)と、隣接するパラ(Para)州のミリチトゥバ(Miritituba)やサンタレン(Santarem)を往復移動すると、その走行距離は2000キロ以上になる。トラックで移動すると3日かかるという。

 さらに、タパジョス川(Tapajos River)に設けられたターミナルに到着しても、荷降ろしの順番が回ってくるまでに数日間待たされることも少なくない。中国で高まるブラジル産大豆の需要で、港湾管理会社が対応に追われていることが影響しているのだ。

 11月から6月にかけての雨期にはさらに移動時間が増える。一部区間で道路がぬかるみ、道路の状況が悪化するためだ。この時期になると、フランセルさんは1日あたり平均で10件のトラック事故を目撃するという。

 穀物の取扱量増大を目的に、港湾施設の建設が次々と進められているなか、幹線道路を走るトラックの数も今後数年間で、大幅に増えると予想されている。

 パラ州イタイトゥバ(Itaituba)のバウミール・クリマコ・デ・アギアル(Valmir Climaco de Aguiar)市長は、今後5年間にターミナルの数が現在の3倍に増えて15施設となれば、ミリチトゥバの港に到着するトラックの数は、1日当たり1500台から6000台に増えるとの見通しを示している。