【12月22日 AFP】インド・ニューデリーの裁判所は20日、2017年に北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州で17歳(当時)の少女を自宅で性的に暴行した罪に問われていた州議会議員のクルディープ・シン・センガル(Kuldeep Singh Sengar)被告(53)に対し、終身刑を言い渡した。

 事件をめぐっては当初、暴行された少女が地元警察に被害を訴えていたが、被告が地元で4選の有力議員だったことから警察は訴えを無視。事件から約1年が経過した昨年、少女はヨギ・アディティナット(Yogi Adityanath)州首相の自宅前で抗議の焼身自殺を試みた。その翌日には、警察に身柄を拘束されていた父親が死亡しているが、家族は父親は娘の事件の捜査を警察に求めたために拷問されたと主張している。

 こうした事態に昨年4月、州首相がようやく捜査を命じ、インド各紙も事件を報じ出した。センガル被告は今年8月に国政与党・インド人民党(BJP)を除名されたが、州議員は辞職していない。

 最高裁命令により、事件の裁判はセンガル被告が影響力を持つ地元のウッタルプラデシュ州から首都ニューデリーの裁判所に移され、被害少女が事件当時に未成年だったことから、被告は児童保護法に基づいて裁かれた。

 PTI通信(Press Trust of India)によると、ニューデリー裁判所の判事は今月20日の判決言い渡しで、センガル被告に終身刑と罰金250万ルピー(約385万円)を科し、「情状酌量の余地はない。センガル被告は公職にありながら人々の信頼を裏切った」と判決理由を述べた。

 事件は、有力者が刑罰を免れているインドの実態を浮き彫りにした。特にウッタルプラデシュ州は法順守から逸脱した地域として悪名高いが、センガル被告は罪状を否認している。(c)AFP