【12月21日 AFP】イスラム過激派グループの拠点となっているシリア北西部イドリブ(Idlib)県で、激しい爆撃を受けて多数の住民が避難する事態となっている。国連人道問題調整事務所(OCHA)が明らかにした。16日から続く戦闘の激化により、同地域の人道的状況がさらに悪化している。

 在英のシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)は20日、国連(UN)が緊張緩和を呼び掛けたにもかかわらず、イドリブ県では16日以降で戦闘が増加。過去24時間でさらに激しさを増し、政府側・反体制側で80人以上が死亡したと述べた。

 イドリブ県は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の元傘下組織を前身とする反体制派連合「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」が支配している。同監視団によると、イドリブ県南部のマーラトヌマン(Maaret al-Numan)で戦闘が激化。シリア政府軍を支援しているロシア軍が、マーラトヌマンやその近くのサラケブ(Saraqeb)に対し何度も空爆を実施したことだという。

 OCHAは、イドリブ県南部で16日以降、大量の住民が北に逃れているとし、避難するために戦況が収まるのを待っている住民も多いと説明。さらに、マーラトヌマンから出る道路が、度重なる空爆によって「非常に危険」な状態になっているほか、自家用車用のガソリン不足で住民の移動が制限されていると指摘した。

 OCHAは、「12月19日夕方以降、マーラトヌマンの住民は安全な場所に移動したいと人道支援団体に連絡を取り始めたが、激しい空爆で移動ができなかった」と述べた。(c)AFP/Layal Abou Rahal with Aref Watad in Bab el-Hawa