【12月20日 AFP】米カリフォルニア州の有名競馬場であるサンタアニタパーク(Santa Anita Park)で馬が死ぬケースが相次いでいる問題に関して、ロサンゼルス郡検察局(Los Angeles District Attorney's Office)は19日、捜査では犯罪行為や動物虐待の証拠は何も見つからなかったと発表した。

 検察局が公表した17ページの報告書では、「検察局のタスクフォースが徹底した捜査と証拠の検証を行った結果、サンタアニタパークで命を落とした馬に対する不道徳な動物虐待や違法行為の証拠は発見されなかった」と述べられていた。

 同競馬場ではここ12か月の間に37頭もの馬が死ぬ事故が起きており、各検察局や警察官による捜査を経て今回の報告書が発表された。また、サンタアニタの競馬場がけがを承知の上で馬をレースに出走させていたり、天候やトラックのコンディションに懸念があっても調教師やジョッキーにレースを強要したりした証拠は何もなかったという。

 検察局は動物の安全を確保するためのさらなる対策を求めた。また、規制当局が規則違反への処罰をもっと厳しくすることに加え、動物虐待や規則違反が疑われるケースを通報するための情報受付窓口を設けるように勧告。さらには、競馬場や調教施設の検査を義務化すると同時に、死んだ馬の検視記録や獣医師の診断書の検証を呼び掛けた。

 今月26日にレースが再開されることになっているサンタアニタパークに関する今回の報告書では、同競馬場での馬の致死率がここ数年で激しく変動していることも示された。全米で行われた2018年の競馬では、1000レースにつき1.68頭が死んでいる中で、同時期のサンタアニタでは1000レースにつき2.04頭が落命しているという。

 しかしながら、けがをしている馬に投薬してレースに出走させている調教師を以前から非難してきた動物愛護団体は、今回の検察局の発表を批判した。(c)AFP