【12月19日 AFP】南アフリカの最高控訴裁判所は18日、同国の基礎教育省に対し、学校のくみ取り式トイレに落下して死亡した5歳男児の遺族に140万ランド(約1100万円)の賠償金を支払うよう命じる判決を下した。

 2014年1月に同国北東部リンポポ(Limpopo)州で、マイケル・コマペ(Michael Komape)君が通っていた学校のくみ取り式トイレを使用していたところ、踏み板部分が壊れ、コマペ君はたまっていた排せつ物の中に落下し、4時間後に遺体で発見された。

 コマペ君の父親は、息子の遺体発見時の様子について、「助けを求めるかのように汚物の中から片手が突き出ていた」と現地テレビ局eNCAに語った。

 最高控訴裁は、コマペ君の死によって引き起こされた遺族の「精神的ショックと悲しみ」に対する損害賠償を認めた。さらにコマペ君の両親ときょうだいを含む家族全員について将来かかる医療費も支払うよう、基礎教育省に命じた。

 前審の同州ポロクワネ(Polokwane)の高裁では、基礎教育省と地元教育当局が被害者の権利を侵害した点は認めたが、賠償請求については却下していたため、最高控訴裁で判決が覆った格好になる。

 南アフリカの地方部の学校では今もくみ取り式トイレが一般的にみられる。2018年にも別の男児が同様の状況で死亡しており、シリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は2年以内に学校からくみ取り式トイレをなくすと約束していた。(c)AFP