【12月19日 AFP】記録的な熱波により前例のない規模の森林火災が拡大しているオーストラリアのニューサウスウェールズ(New South Wales)州で、当局が19日、7日間の非常事態を宣言した。

 今年の森林火災シーズンは干ばつの影響で通常より早い9月に始まった。グラディス・ベレジクリアン(Gladys Berejiklian)州首相は、「壊滅的な気象条件」のため今季2度目の非常事態宣言を発令した。

 同州では数週間にわたり約100か所の森林火災が燃え続け、うち半数は制御不能の状態に陥っている。最大都市のシドニーは、周辺地域で発生した「メガ火災」による有毒な煙に覆われている。

 オーストラリアは全国的にも17日に平均気温が40.9度に達し、過去最高を更新した。今後、熱波が東に広がり、気温はさらに上昇する見込み。

 19日の予想最高気温はシドニー中心部で41度、同市西郊では45度となっており、風も午後には最大風速約27メートルに達するとされる。風が森林火災をあおり、シドニー市内にこれまで以上に火の手が迫る恐れが出ている。

 火災の対応には、米国とカナダの支援チームを含む消防士2000人に加え、オーストラリア軍も出動している。

 ニューサウスウェールズ州地方消防局(New South Wales Rural Fire Service)のシェーン・フィッツシモンズ(Shane Fitzsimmons)局長は、「火災の複雑さがもたらす影響の甚大さと、きょう以降予想される天候の厳しさを考慮し」、最も危険な火災に対応する100人構成の「出撃部隊」を待機させていると述べた。

 さらに「シドニー都市圏ではきょう、気象条件が火災にとって最悪となり、火災の危険等級も最高水準に達することが予測されている」と付け加えた。

 クイーンズランド(Queensland)州でも70か所以上の森林火災が続いており、沿岸部の人気観光地ヌーサ(Noosa)に近いペレジアン(Peregian)では18日、住民が避難を余儀なくされた。森林火災はサウスオーストラリア(South Australia)州とウエスタンオーストラリア(Western Australia)州でも発生している。

 過去数か月間で発生した森林火災で延焼した面積は、オーストラリア全土で少なくとも300万ヘクタールに及び、これまでに6人が死亡、家屋800棟以上が焼失したことが確認されている。(c)AFP