【12月18日 AFP】5000年以上前のカバノキのやにの塊から完全なヒトDNAサンプルを抽出することに成功したとする論文を、デンマークの研究チームが17日に発表した。やにの塊は、チューインガムのようにかまれていたという。

 この石器時代のサンプルは、やにの塊をかんでいた人物の性別、直前の食事の内容、口内細菌の種類などを判別するのに十分な情報をもたらした。分析の結果、この人物は女性で、黒髪で肌は浅黒く、瞳の色は青だった可能性が高いことが判明した。

 遺伝子学的に見て、この女性は当時スカンジナビア(Scandinavia)地域の中部に暮らしていた人々よりも、欧州本土の狩猟採集民との方が血縁関係が近いと、研究チームは結論付けた。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文の共同執筆者で、デンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)のハンネス・シュレーダー(Hannes Schroeder)氏は、「古代人の完全なゲノム(全遺伝情報)が人骨以外のものから抽出されたのは、これが初めてだ」とAFPの取材で話した。

 研究チームによると、このサンプルはデンマーク・ロラン島(Lolland)で行われた、考古学的発掘調査中に発見されたという。

 やにの塊が見つかった発掘現場について研究チームは、「(ここでは)ほぼあらゆるものが泥の中に封じ込められている。これは有機物質の残留物の保存状態が並外れて良いことを意味する」と指摘している。

 研究チームは、植物と動物(ハシバミの実とカモ)のDNAも回収した。これは、当時このあたりに住んでいた人々について考古学者らがすでに知っていることを裏付けるものだ。

 そもそも、なぜこの石器時代の女性はやにの塊をかんでいたのだろうか。接着剤のようなものを作ろうとしたのか、歯をきれいにしようとしたのか、飢えをしのごうとしたのか、それとも単にガムとしてかんでいたのだろうか。その理由についてはまだ明らかになっていない。(c)AFP