【12月17日 AFP】電子たばこの使用により、ぜんそく、気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性肺疾患発症リスクが著しく増加するとの研究結果が16日、医学誌「アメリカンジャーナル・オブ・プリベンティブ・メディシン(American Journal of Preventive Medicine)」に発表された。ただ、発症率でみると、電子たばこは紙巻きたばこよりも害が少ないことも分かったという。

 米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームは、電子たばこと紙巻きたばこの利用と、2013~16年の米成人3万2000人以上の肺疾患に関する公開データを調べた。

 この結果、電子たばこの利用者および過去に利用経験がある人は、一度もたばこを吸ったことがない人に比べ慢性肺疾患の発症率が1.3倍だったことが分かった。一方、紙巻きたばこの喫煙者の発症率は2.6倍、電子たばこと紙巻きたばこの両方を利用している人の発症率は3倍だった。

 論文の主執筆者であるUCSFのスタントン・グランツ(Stanton Glantz)教授(医学)は「電子たばこはそれ自体が有害であり、従来のたばことは異なる影響がある」と説明した。

 今回の論文では、電子たばこによる害に対する生物学的説明はされていない。生物学的説明については、電子たばこが免疫系を抑制し、肺内のストレス関連タンパク質濃度を上昇させることを動物と人間の実験で明らかにした過去の研究を引用している。

 電子たばこを推奨する人々は、電子たばこは紙巻きたばこに比べ害が少ないため喫煙者にとって代替物となると主張している。だが、グランツ氏によると、調査の参加者の大半は紙巻きたばこと電子たばこの両方を利用していたという。

「紙巻きたばこから電子たばこへ切り替えることで肺病リスクを減少させることが可能だが、実行する人はほとんどいない」とグランツ氏は指摘する。「大半の人は、紙巻きたばこに加え電子たばこも吸うようになる。これにより、肺病発症リスクが著しく増加する」 (c)AFP