【12月17日 AFP】世界有数の肥満大国メキシコの首都メキシコ市では、「ヘルシー・ポリス(Healthy Police)」と銘打った警察官対象の減量プログラムが行われている。腕立て伏せやスクワットなどのメニューをこなすこのプログラムには、市内全域の警察官8万3000人中1000人以上が参加しており、参加者には月に1000ペソ(約5800円)のボーナスも支給される。

 3か月前に始まったこのプログラムに熱心に通い続けている参加者らは、人生が変わったと話す。

 AFPの取材に応じたマウリシオ・バレーラ(Mauricio Barrera)さん(26)は、「自分にとってまったく新しい体験だった。最初の1か月は精神的にも肉体的にもきつかった」「でも、プログラムのおかげで肥満は病気なのだと理解できた」と語った。今は体が引き締まり健康そうに見えるバレーラさん。体重は16キロ減ったと笑顔で明かした。

 インストラクターのハビエル・ラミレス(Javier Ramirez)さんは、「このプログラムは、メキシコが抱える肥満の問題や座ってばかりのライフスタイルと闘うための方策だ」「彼らが任務を効果的に遂行できるよう、最適なコンディションでいてほしい」と話した。

■肥満の増加

 メキシコ政府の統計によると、同国の成人の4分の3は過体重や肥満だという。肥満の増加は糖尿病や心疾患の罹患(りかん)率の上昇につながっていると公衆衛生専門家らは指摘する。

 これを受け、当局はこの問題への対応策を模索。2014年に炭酸飲料やその他の糖分の多い飲料への課税を実施し、今年は砂糖や塩分、飽和脂肪酸が多量に含まれているジャンクフードに警告ラベルを貼ることを製造業者に義務付ける法案が議会で可決されている。(c)AFP/Yussel GONZALEZ