【12月17日 AFP】インドネシアのリゾート、バリ(Bali)島で、ロシア人の男が薬剤で眠らせて国外に密輸しようとしたオランウータンの子どもが、野生に返される見通しとなった。

 3月に大きく報道されたこの事件では、ロシア行きの便で帰国するところだったアンドレイ・ゼストコフ(Andrei Zhestkov)受刑者を不審に思ったバリ島当局が止め、スーツケースを開けたところ、とうの籠の中で眠っている2歳の雄のオランウータンを発見した。

 7月に禁錮1年の判決を受けたゼストコフ受刑者は、このオランウータンのために粉ミルクと毛布を用意していた。さらに、生きているヤモリ2匹とトカゲ5匹もスーツケースの中に入れていた。

 バリ島の環境保護当局は16日、インドネシア西部スマトラ(Sumatra)島にある保護センターに移送される準備が整ったボンボン(Bon Bon)を、フルーツの大皿でもてなした。スマトラ島は、絶滅危惧種のオランウータンが野生で見られるわずか二つの生息地のうちの一つだ。

 飼育係のケタット・ディアンディカ(Ketut Diandika)さんは、ボンボンの出発を少し悲しんでいると話した。「本音を言うと、ボンボンにはここにいてほしい。そうすればもっと世話をできるから」

 東南アジアのインドネシア群島にある熱帯雨林は、世界最高レベルの生物多様性を誇る地域だが、野生動物違法取引の主要な供給源と中継点となっている。(c)AFP