【12月17日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)広安市(Guangan)博物館の唐雲梅(Tang Yunmei)館長はこのほど、同市文物部門の職員が同市の協興生態文化観光パークでの発掘調査時に、同パーク葫蘆島西側にある二つの明代の墓から500年余り前の鶏卵ともみを発見したことを明らかにした。

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 出土した墓誌銘から、この墓は明代の広安の人、楊銘(Yang Ming、1435~1501年)とその妻鄭氏、范氏らの墓と確認された。墓からは穀物を入れるための施釉陶器の「罐」(かん、広口で胴の張った容器)や磁器の「碗」(わん、広口でふたのない容器)、青銅の簪(かんざし)、銅鏡、墓誌銘など17点が出土した。特にM1墓二号後龕(がん)に置かれていた罐の中にもみが残っており、外形が全く損なわれていない鶏卵が包まれていた。鶏卵の数はまだ確認されていない。

 中国では、鶏卵の出土はこれまで2例しか報告されていない。うち1件は貴州省(Guizhou)習水県(Xishui)黄金湾遺跡で発見された2000年以上前の漢代の、土で包まれた卵のカラ。もう1件は江蘇省(Jiangsu)溧陽市(Liyang)上興鎮(Shangxing)の土坑墓から出土したかめに詰められ石灰化した卵のカラで、2500年前の春秋時代のもの。

 唐館長は「卵がこのように無傷で保存されていたことで、被葬者の息子がどれだけ心を込めて墓を建設したかわかる」と指摘。墓の石室は精密につくられ、密封性が非常によく、全ての木棺内には2~5センチの石灰が敷かれ、さらに枕も石灰でできており、防湿、防腐性に優れていた。もみと鶏卵が収められた罐はふたがされ、泥の侵入を防いでいる。「一定の温度と湿度が保たれた密閉空間がつくり出され、副葬品のもみや鶏卵が今まで完全な状態で保管できた」と唐館長は述べた。

 また「卵が出土する例は少ないため、今回広安の明代の墓から無傷の卵が出土したことで、西南地区の家禽(かきん)の変遷のルーツや、飼育方式、養殖業の発展の歴史に関する貴重な実物資料となる」と説明し、今後は、より科学的で合理的な保存手段を見つけるために、赤外線非破壊検査技術を用いて出土した卵を壊さずに分析し、卵の数量や保存状態を明らかにしていくと語った。(c)Xinhua News/AFPBB News