【12月21日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)にある成都中医薬大学中国出土医学文献・文物研究院の重要な研究成果である「天回医簡」が、6年の整理と研究を経て、文物出版社から来年出版されることになった。散逸して久しい古代中国の名医、扁鵲(Bian Que、へんじゃく)の医学文献が再び日の目を見ることになる。

 四川省成都市(Chengdu)金牛区(Jinniu)天回鎮(Tianhui)にある前漢時代の墓「老官山漢墓」で2012年7月から翌年8月にかけて、竹簡と漆器製の人体経穴模型などの文化財が出土。文字が記された竹簡960本余りが含まれ、内容は医学書8種類、法律文書1種類にわたっていた。計2万5000字以上に及ぶこれらの竹簡は「天回医簡」と呼ばれている。

 同研究院の柳長華(Liu Changhua)院長は「天回医簡」の医学的内容が中国医学の基本理論から鍼灸(しんきゅう)、薬の処方などに及ぶと紹介。中でも「脈書・上経」は最も重要な医学の古典であり、人間の臓器が自然界とつながっているという理論を記し、鍼灸による病気治療や診断が可能な理由を説明している点で、重要な現実的意義を持つとの見方を示した。

「脈書・上経」では5カ所に「敝昔曰く」という文字が出てくるが、研究者の武家璧(ぶ・かへき)氏はこの「敝昔」について、戦国時代の名医、扁鵲の別称でないかと考察している。「史記」では扁鵲の本名が「秦越人」(しん・えつじん)と記されている。

 柳氏の研究チームは、「天回医簡」の主要部分は前漢の呂太后から文帝の時代に書き写されたと推定。文献に登場する大量の方言から、これらの竹簡は山東地方で書き写され、墓の主人によって四川地方に持ち込まれたと推測している。(c)Xinhua News/AFPBB News