【12月16日 AFP】イランでは15日、首都テヘランなど複数の都市が大気汚染による有害なスモッグに覆われ、学校を休校とする措置が取られた。

 通常テヘランの北方に見える山々はこの日、濃いスモッグでかすんでいた。当局はテヘランの大気汚染レベルが子どもや高齢者、呼吸器疾患のある人といった「影響を受けやすい市民に有害」だと判断し、室内にとどまり屋外の運動は控えるよう呼び掛けた。イランでは日曜は平日に当たる。テヘランの休校措置は16日も続く見通し。

 国営イラン通信(IRNA)は、自動車のナンバーが奇数か偶数かによって交互に運転を規制する措置も発動されたと報じた。テヘラン州ではトラックの運転を完全に禁止する措置も取られた。

 イラン政府の公式ウェブサイトによると空気中の微小粒子状物質PM2.5の濃度は、15日正午までの24時間で1立方メートル当たり平均145マイクログラムを測定。この数値は世界保健機関(WHO)が推奨するPM2.5濃度の上限値25マイクログラムの約6倍に当たる。

 タクシー運転手のモハンマドさんは「政府関係者は、色付き窓ガラスの車に乗っている限り、大気汚染を目にすることはない。彼らが私のタクシーのような車両に乗れば、大気汚染を目にして対策が必要だと思うだろう」と述べた。モハンマドさんは、バスやタクシーなど「公共交通を電力化する」ことや、常に混雑している地下鉄を拡張することが解決につながると述べた。

 テヘランでは毎年冬になると、空気が冷却され風がなくなり、有害なスモッグが何日間も市の上空にとどまる現象が発生する。

 世界銀行(World Bank)は昨年発表した報告書で、テヘラン市内で発生する大気汚染の主な原因は大型車やバイク、石油精製施設、発電所などからの排ガスだと指摘した。(c)AFP