【12月16日 AFP】ルーマニアは、故ニコラエ・チャウシェスク(Nicolae Ceausescu)大統領の独裁政権を打倒した革命から今年で30周年を迎える。革命が始まった西部ティミショアラ(Timisoara)では15日、「自由の行進」が行われた。

 大勢の参加者がルーマニア国旗を振りながら、赤れんが造りの聖堂まで行進した。1989年、この改革派教会の牧師テケシュ・ラースロー(Laszlo Tokes)氏が、説教の中でチャウシェスク大統領の独裁政権を批判したことで追放された。

 テケシュ氏追放に対する抗議が革命の火種となり、欧州最後の共産主義政権を打倒した。共産主義陣営の東欧と資本主義陣営の西側を隔てていた「鉄のカーテン(Iron Curtain)」は、89年春ごろから崩壊し始めていた。

 現在67歳のテケシュ氏はAFPに対し、「人々が私の呼び掛けに応じ、教会に足を運んで結束を示すとは想像できなかった」と述べ、「この結束が、共産主義政権に対する抗議運動へと姿を変えた」と語った。

 テケシュ氏を支持する抗議集会の開始から2日後、チャウシェスク大統領はデモ参加者への発砲を命令。ティミショアラでは89年12月17日、60人近くが死亡し、2000人以上が負傷した。

 政権に反対する人々は、同21日に首都ブカレストに到着。翌日には、チャウシェスク大統領とその妻がヘリコプターでブカレストから逃亡したが、その後逮捕された。

 クリスマスの25日、2人は死刑判決を受け、即日執行された。

 革命では計1104人が死亡し、3552人が負傷した。(c)AFP/Mihaela RODINA