【12月16日 AFP】15日に行われたサッカースペイン2部リーグのラージョ・バジェカーノ(Rayo Vallecano)対アルバセテ・バロンピエ(Albacete Balompie)の試合が、ラージョのファンがアルバセテの選手を「ナチス(Nazi)」と呼ぶチャントを歌ったことにより、前半だけで中止となった。

 ラージョのホームで行われた試合は、かつてチームに期限付きで加入していた現アルバセテのロマン・ゾズリャ(Roman Zozulya)をホームサポーターが「プータ・ナチ(ナチス野郎)」と呼んだことで、前半途中に一時中断。最終的に0-0のハーフタイム時点で中止が決まった。

 アルバセテは「ラージョ・バジェカーノとアルバセテ、リーグ、審判団および連盟の合意の下で、試合の中止が決定された」「決定の理由はただ一つ、われわれの愛するこのスポーツと、大会の価値を守るためだ」と発表。ラージョもツイッター(Twitter)で「前半からチャントと侮辱行為が繰り返されたことから、試合は中止になった」と発表した。

 ゾズリャは2017年にレアル・ベティス(Real Betis)から期限付きでラージョに移籍したが、ネオナチとの関連が取り沙汰される選手の加入に、左寄りで知られるサポーターが反発。本人はサポーターにメッセージを送ってネオナチ集団とは無関係だと主張したが、ゾズリャの初練習の際には「ここにナチスの居場所はない」という横断幕が掲げられ、結局ゾズリャは公式戦に1試合も出場することなく、すぐにチームを離れた経緯がある。

 ラージョのラウル・マルティン・プレサ(Raul Martin Presa)会長は「クラブとこのスポーツにとって非常に悲しい夜だ」とコメントし、「人間であり、敬意を受けるのにふさわしい」ゾズリャと話をして「キスをした」と明かしている。(c)AFP