【12月15日 AFP】サッカーの英イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)に所属するメスト・エジル(Mesut Ozil)選手(31)が13日、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)における中国政府のウイグル人弾圧を批判するコメントを自身のツイッター(Twitter)に投稿し、波紋が広がっている。

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 トルコ系ドイツ人のエジル選手は、「コーランが焼かれ、モスクが閉鎖され、イスラム神学校が閉校させられ、聖職者たちが次から次へと殺され、兄弟(イスラム教徒)たちが強制的に収容施設へ送られている」とトルコ語で書き込み、「それなのにイスラム教徒たちは沈黙している。彼らの声が聞こえてこない」と、イスラム教の国々が行動を起こさないことを批判した。コメントの背景には青地に白い三日月が描かれた東トルキスタン(East Turkestan)の旗が用いられている。東トルキスタンは新疆ウイグル自治区のウイグル名称だ。

 中央アジアから移住したチュルク人を国名の由来とし、民族的にもウイグル人に近いトルコは、ウイグル自治区の状況に対する懸念を繰り返し表明している。

 エジル選手のコメントについて、中国資本から巨額の商業利益を得ているアーセナル側は「エジル個人の意見」として距離を置いている。

■ウイグル人100万人以上が収容施設に

 新疆ウイグル自治区をめぐっては、広大な自治区内の各地に中国がウイグル人を多数派の漢民族に同化させる目的とした収容施設を築き上げていると、国際的に批判が高まっている。

 人権団体や識者らによれば、当局の厳しい管轄下に置かれたウイグル自治区で収容施設に拘束されているウイグル人やイスラム教徒を中心とする少数派民族の数は、100万人以上だという。

 当初は収容施設の存在を否定していた中国だが、現在はそうした施設について、イスラム過激派や暴力行為への傾倒を防ぐための職業訓練校だと説明している。(c)AFP