【12月15日 AFP】スイス北部アールガウ(Aargau)州にあるベズナウ(Beznau)原子力発電所が9日、運転開始から50年を迎えた。環境保護活動家らはあまりにも古くて危険だとし、直ちに閉鎖するよう求めている。

 ベズナウ原発は、1969年12月9日に商業運転を開始した。50年が経過した原発のタービン建屋内にある青い壁にはドイツ語でこう書かれていた。「1969~2019年。35万5000時間稼働」

 ベズナウ原発1号機は、現在稼働している原発としては2番目に古い。国際原子力機関(IAEA)によると、最も古いのは1969年10月に稼働したインド西部タラプール(Tarapur)原発の1号機と2号機だ。

 ベズナウ原発の1号機と1971年に稼働した2号機を合わせると、その年間発電量は約6000ギガワット時に上る。これは、スイスの最大都市チューリヒの電力消費量の約2倍に当たる。

■大規模改修

 ベズナウ原発はここ数十年で何度か改修を行っており、最近では2015年から17年にかけて実施された。ベズナウ原発を運営する電力会社アクスポ(Axpo)の幹部ミハエル・ドスト(Michael Dost)氏はAFPの取材に、「部品は取り換えられており、新たな機器も設置された。原発に要求されるすべての技術的条件を満たしている」と話した。

 スイスの原子力安全検査局(ENSI)も、「ベズナウの1号機は、大規模改修のおかげですべての法的規制を満たしていることが証明されている」と述べている。

 だが、改修では原発の古さを補うことはできないとする反対意見もある。

「ベズナウ原発の改修に多額の投資をしたことは理解している。だが、安全性を改善したからといって、フォルクスワーゲン(Volkswagen)のビートル(Beetle)をテスラ(Tesla)に変えることはできない」

 そう話すのは、環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)・スイスの原子力専門家フロリアン・カッセル(Florian Kasser)氏だ。同氏は「原子力の安全性という観点から見ると大きなリスクだ」とベズナウ原発について指摘する。他方で、直近の選挙で議席数を伸ばした緑の党(Green Party)も、ベズナウ原発の即時閉鎖を求めている。